カルト歌謡カルタ【ぬ】サザンオールスターズ「Nude Man」

カルト歌謡カルタ【ぬ】サザンオールスターズ「Nude Man」

いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「Nude Man」

1982年発表 歌:サザンオールスターズ‬
作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:‪サザンオールスターズ‬

サザンオールスターズの中でも特にカルト感が強い曲。‬‬明らかに歌っているにも関わらず、歌詞カードに記載がない。サザン楽曲の歌詞と解説が主に書かれた桑田佳祐の著書「ただの歌詩じゃねぇか、こんなもん」(新潮文庫、1984年発売)にも載っていない。カラオケでは歌詞が表示されるが、“当社が独自に判断したもので正確な歌詞ではありません”と、注意書きが出る。‬‬

桑田が出演している松下電器産業(現在のパナソニック)のヘッドホンステレオ「World Way」のCMソングに使われている。演奏時間はそれに少し加えた1分11秒……。サザンの正式な楽曲の中では最短となる。‬‬

‪‪「ロッキード事件」(1976年)をテーマにしており、サザン5枚目のアルバムのタイトル曲でもある。「世話すれば金もらう」や「癒着」といった言葉が聴き取れるように、社会に訴えかける攻撃的な要素のある曲になっている。1982年1月に発売され、オリコン2位になった「チャコの海岸物語」が同アルバムに収録されていないのは、アルバムのテーマが、「チャコの海岸物語」の世界観と異なることも考えられる。ヒットシングル曲を入れない点からも、サザンの新たな試みとそれに賭ける想いが伺える。‬‬

‪‪お尻を剥き出しにして波に飛び込むジャケ写が印象的なこのアルバムの売上は90万枚以上(再発分含め)、1982年の国内アルバム売上3位に輝き、第24回レコード大賞ベスト・アルバム賞を受賞。サザンにとって転機となった事は確かであり、ここから音楽業界で不動の地位を築く事になる。‬‬

解説・イラスト:はらめがね