【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#35 シンガーソングライター・友川カズキの言葉

仲村瞳の歌謡界偉人名言集

作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。

こっちも表現者だけどね、聴く方も表現者だ

『Real Sound』(2016年11月12日)インタビューより

※このインタビューの最後に「今回のインタビューを読んで初めて知る人たちに伝えたいこと、言いたいことはありますか?」という質問を受けて、友川カズキは「あんまりないね」と事も無げに言う。「私のコンサートに来る人間は、みんな自分に興味がある人間だよ。俺にじゃないよ、自分自身に興味のある人間。それが正しいんだよ」と語り、この名言へとつながる。友川の脱力した言葉には、度々、真理が見え隠れする。ステージではよくギャグのひとつとして「死ぬまでに一回でいいから、金持ちの寂しさを知りたい」とも語っている。

友川カズキ(ともかわかずき)
1950年生まれ、秋田県三種町出身。1971年、中津川フォークジャンボリーに飛び入り参加。1974年、宇崎竜童の後押しを受け、「上京の状況」でシングルデビュー。1977年、ちあきなおみは、友川カズキに楽曲提供を依頼した「夜を急ぐ人」で、第28回NHK紅白歌合戦に出場。この時、司会者に「気持ちの悪い曲ですね」と感想が述べられたことが伝説となっている。奥田民生、遠藤ミチロウなど、多くのアーティストに影響を与えている。映画監督の大島渚は「友川カズキのうたが胸にしみいるとしたら、君は幸せだと思え。涙があふれたら、君は選ばれた人間だと思え」と絶賛した。バスケットボールの名門、能代工業高校の名コーチとしてオリンピック日本代表選手を育てた実績があるほか、競輪評論家、画家、俳優としても評価が高い。現在も日本全国で精力的にライブ活動を行っている。