カルト歌謡カルタ【な】さいたまんぞう「なぜか埼玉」

カルト歌謡カルタ【な】さいたまんぞう「なぜか埼玉」

いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「なぜか埼玉」

1981年発表
歌:さいたまんぞう
作詞・作曲:秋川鮎舟
編曲:小谷充

1980年に自主製作された「なぜか埼玉」は、1981年2月にラジオ番組『タモリのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)のコーナー『思想の無い歌』で取り上げられて火がつき、1981年4月に全国発売となる。パーソナリティのタモリは「イモな歌だね、下手な歌手だね」と笑いながらコメントしている。

さいたまんぞうは、岡山生まれで東京暮らしと、埼玉に全く関係ない。過去に山陽放送の番組に“おかやまんぞう”で出演していたこともあるくらいだ。楽曲を作詞・作曲した秋川鮎舟は「演歌を歌えない奴に歌わせよう」と知人を通じてオファーしたのが、さいたまんぞうだったという。“遊び心で製作して歌詞に特段意味はない”そうだが、秋川は「埼玉いろはづくし」(なぜか埼玉のB面/編曲:山本修司)、さいたまんぞうの2枚目のシングル『埼玉オリンピック音頭』(編曲:小谷充)、そのB面「なぜか埼玉海がない」(編曲:小谷充)と、埼玉の楽曲を次々に製作している。

「なぜか埼玉」の編曲は、作曲家・編曲家の小谷充が担当。小谷は、『まんが日本昔ばなし』の主題歌「にっぽん昔ばなし」(歌:花頭巾 作詞:川内康範 作曲:北原じゅん)などアニメ音楽の編曲や、1981年の第23回日本レコード大賞でロング・セラー賞を受賞した「ブランデーグラス」(歌:石原裕次郎 作詞:山口洋子)など歌謡曲の作曲・編曲を行なっている。

「なぜか埼玉」以外にヒット曲のないさいたまんぞうは、“元祖一発屋”と呼ばれるが、現在も歌手の他、司会業や草野球の審判など精力的に活動している。

解説・イラスト:はらめがね