カルト歌謡カルタ【う】三橋美智也「噂のディスコボーイ」

カルト歌謡カルタ【う】三橋美智也「噂のディスコボーイ」

いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「噂のディスコボーイ」

1979年発表
歌:三橋美智也
作詞:ゆうき詩子
作曲・編曲:佐藤ひろし

“ミッチー”の愛称で親しまれた三橋美智也は、春日八郎・若原一郎と共に、“キング三羽カラス”や“三人男”と称され、戦後の日本歌謡界の礎を築いた代表的な歌手の一人である。1954年にデビューしてから多数のヒット曲を出したその人気は、“三橋で明けて、三橋で暮れる”と言われるほど。1983年に歌謡界史上初のレコード通算売上1億万枚突破。それに次ぐのが美空ひばり、B’zで8,000万枚代。その差を見ても三橋美智也の凄さがわかる。生涯で発表した曲は2,500に及ぶ。

「噂のディスコボーイ」は、1978年第16回ゴールデン・アロー特別賞受賞を記念して1979年に発売されたアルバム『激れ!ミッチー』の収録曲。ダンス・ミュージックに演歌が乗り、伴奏で電子楽器と三味線が見事に融合している。レコードジャケットの三橋美智也は、ディスコブームを巻き起こした映画『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977年/アメリカ)主演のジョン・トラボルタを彷彿とさせる。アルバムのサブタイトルの通り、“三橋美智也もう一つの世界”が溢れている。200万枚以上売り上げたシングル曲「夕焼けとんび」(1958年/作詞:矢野亮 作曲・編曲:吉田矢健治)のディスコ・バージョン「THE TOMBI」(1979年/寺内タケシ プロデュース)を発売するなど、ディスコ歌謡の先駆けとしても活躍。

三橋美智也が1996年(享年65歳)多臓器不全で逝去してから20年になる2016年、北海道新幹線『新函館北斗駅』駅前公園に記念碑が建立された。北海道北斗市は三橋美智也生誕の地。約300人のファンが出し合った670万円で建立されたという。

解説・イラスト:はらめがね