カルト歌謡カルタ【ゐ】植木等「遺憾に存じます」

カルト歌謡カルタ【ゐ】植木等「遺憾に存じます」

いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「遺憾に存じます」

1965年発表
歌:植木等
作詞:青島幸男
作曲・編曲:萩原哲晶

ハナ肇とクレージーキャッツの結成10周年を記念して制作された主演映画『大冒険』(1965年公開)の挿入歌。1965年、アメリカのインストゥルメンタル・ロックバンド、ザ・ベンチャーズの来日が拍車をかけ、空前のエレキサウンド・ブームを迎える。「遺憾に存じます」は植木等のソロ曲で、ベンチャーズ来日公演で共演するなど日本エレキ文化を牽引する、寺内タケシとブルージーンズが演奏を担当。レコード音源は勿論のこと、1965年「第16回NHK紅白歌合戦」に植木等がこの曲で出場した時にも演奏している。同年、加山雄三主演の映画『エレキの若大将』も公開されるなど、その時代のエレキサウンド・ブームの凄さは計り知れないものがある。

「遺憾に存じます」のイントロは、 ザ・ビートルズ5枚目のシングル曲「抱きしめたい」(1963年発表)をオマージュ。ザ・ビートルズが日本で本格的に人気が出たのが1966年の来日公演であることを考えると、時代を先取りした感がある。作詞は、一世を風靡したクレージーキャッツ主演の音楽バラエティー番組『シャボン玉ホリデー』(1961年~1972年 日本テレビ系列放送)で脚本・構成を担当した放送作家・作詞家・タレントの青島幸男。作曲・編曲は、仲間うちで「デクさん」の愛称で親しまれた、ハナ肇とキューバン・キャッツ(クレージーキャッツの前身バンド)の元メンバーで作曲家の萩原哲晶。2人は共に時代を先取り、クレージーキャッツの多数の楽曲を手掛けている。

解説・イラスト:はらめがね