カルト歌謡カルタ【ふ】殿さまキングス「ブラジル音頭」

カルト歌謡カルタ【ふ】殿さまキングス「ブラジル音頭」

いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「ブラジル音頭」

1983年発表
歌:‪殿さまキングス‬
作詞:井田誠一
作曲:利根一郎
編曲:寺岡真三

殿さまキングスは、お笑い界から歌謡界へ転身したグループ。‬メンバーの宮地オサムが洋楽をこぶしたっぷりに歌うという楽屋ネタを‪沢田研二‬が気に入り、テレビで話したことがきっかけで、お笑い番組などでネタを披露することとなる。そのこぶしの印象がビクターのディレクターの目に留まり、1973年「北の恋唄」(作詞:‪千家和也‬ 作曲:彩木雅夫 編曲:藤田はじめ)でビクターからデビュー。1972年、一足先に日本コロムビアからのデビューを果たし、音曲漫才から歌謡・演歌コーラスグループへ転身したのが『ぴんからトリオ』。デビューシングル曲「女のみち」(作詞:宮史郎 作曲:並木ひろし 編曲:佐伯亮)が大ヒットする。殿さまキングスは、その対抗馬としてビクターからデビューしたかたちだが、1973年発売の3枚目のシングル曲「なみだの操」(作詞:‪千家和也‬ 作曲:彩木雅夫 編曲:藤田はじめ)が大ヒットを記録し、ムード歌謡グループとして見事に成功を収めた。この“転身”は一つのブームとなった。

「ブラジル音頭」は、殿さまキングス18枚目のシングル曲。「♪生まれてきたのは踊るため」、「♪でっかく踊れ」と陽気な歌詞に、演歌とサンバが見事に融合した楽曲である。2003年に松井誠により「誠のブラジル音頭」としてカバーされている。作曲を担当したのは作曲家の利根一郎。1966年「霧氷」(歌唱:橋幸夫 作詞:宮川哲夫 編曲:一ノ瀬義孝)が第8回日本レコード大賞を受賞。40年以上作曲家として活躍して、1990年に勲四等瑞宝章を受章している。

解説・イラスト:はらめがね