カルト歌謡カルタ【え】ザ・スパイダース‬「エレクトリックおばあちゃん」

カルト歌謡カルタ【え】ザ・スパイダース‬「エレクトリックおばあちゃん」

いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「エレクトリックおばあちゃん」

1970年発表
歌:‪ザ・スパイダース‬
作詞:麻生ひろし
作曲:‪かまやつひろし‬
編曲:‪ザ・スパイダース‬

1970年9月に発売された「エレクトリックおばあちゃん」は、同年12月に解散した‪ザ・スパイダース‬の21枚目にして最後のシングル曲。

ザ・スパイダースのメンバーは、リーダー・田辺昭知(ドラムス)、かまやつひろし(ギター)、井上孝之(ギター)、大野克夫(オルガン、スチール・ギター)、堺正章(ボーカル)、加藤充(ベース)、井上順(ボーカル)。1960年代にイギリスのバンドが演奏したブリティッシュ・ビート・サウンド、中でも世界的な人気を誇ったザ・ビートルズのマージー・ビート、サイケデリック・ロック・サウンドを主に取り入れた。1965年にシングル曲「フリフリ」(作詞・作曲:かまやつひろし 編曲:田辺昭知)でデビュー、1966年発売の7枚目のシングル曲「夕陽が泣いている」(作詞・作曲:浜口庫之助 ‬編曲:チャーリー脇野、ザ・スパイダース)は120万枚超の大ヒットを記録。洋楽の新しいサウンドや機材を逸早く取り入れた彼らは、グループ・サウンズの中で最高峰の音楽性と人気を築いたといえる。

「エレクトリックおばあちゃん」は、ジャン&ディーンのシングル曲「パサディナのおばあちゃん」(1964年/アメリカ)の歌詞や曲をオマージュした楽曲。歌詞ではロサンゼルス郡のパサディナという都市を青森県の弘前市に置き換えており、弘前の方言「♪ドシテラベナ」(どうしているんだろうな)が曲中繰り返し登場する。軽快な曲調に、ボーカルの堺正章がハイトーンボイスでコミカルに表現。この見事な融合はスパイダースならではだ。ドラムスは、田辺昭知がスパイダクション(後の田辺エージェンシー)を設立し社長業に専念することを理由に1970年5月に現役引退したため、同年6月に加入した前田富雄が演奏している。

解説・イラスト:はらめがね