【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#57 音楽プロデューサー・小島豊美の言葉

仲村瞳の歌謡界偉人名言集

作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。

曲を作った人間ばかりにスポットライトが当たるけれど、バックヤードでどれぐらい責任感を果した人がいたかが重要

『昭和のテレビ童話クロニクル』(DU BOOKS/著・小島豊美とアヴァンデザイン活字楽団)より

『ひらけ!ポンキッキ』(フジテレビ)、『みんなのうた』(NHK)、『ピッカピカ音楽館』(テレビ朝日)など、「テレビ童謡」の音楽プロデューサーとして制作現場の最前線を駆け抜けた、小島豊美。『ギネス世界記録2009』において、「日本で最も売れたシングル・レコード」(約460万枚)として掲載されている「およげ!たいやきくん」をディレクションした人物としても知られる。今回の名言は、その制作秘話からの抜粋である。小島は、「およげ!たいやきくん」が記録的大ヒットとなった背景には、「キャニオンの営業的努力があった」と語る。毎週70万枚という前代未聞のプレスオーダーに対応すべく、当時の営業部長・津澤正次がライバルのレコード会社のプレス工場にまで頭を下げて協力を仰ぎ、追加プレスを受けてもらったのだという。日の当たらないところにまで目を向けられることが、ヒットを生み出す条件とも取れる言葉である。

小島豊美(こじまとよみ)
1948年生まれ。東京都墨田区出身。1971年、ポニー(後のポニーキャニオン)に入社。音楽ディレクターとして『ひらけ!ポンキッキ』(フジテレビ)、『おかあさんといっしょ』(NHK)など、子供向け番組の音楽制作に携わる。担当作品の「およげ!たいやきくん」は1975年12月に発売され、未曾有の大ヒットを記録。1987年に退社し、マックスコム設立に参画。『ピッカピカ音楽館』(テレビ朝日)の音楽プロデュースを担当する。その後は音楽制作会社APPを設立。サンリオ、日本コロムビアなどに、多くの作品を残す。日本の文化のデジタルメディア化や、古地図データベースの開発も手掛ける。代表作は『古今東西噺家紳士録―寄席一五〇年』(丸善/エーピーカンパニー)、『江戸明治東京重ね地図』(エーピーカンパニー)など。