カルト歌謡カルタ【ゑ】岡林信康「ええじゃないか!」

カルト歌謡カルタ【ゑ】岡林信康「ええじゃないか!」

いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「ええじゃないか!」

1998年発表
歌:岡林信康
作詞・作曲:岡林信康

岡林信康のベースは、“関西フォーク”にある。関西フォークは、労働者のための音楽の普及を目的とした組織・勤労者音楽協議会(通称:労音)から1966年に大阪労音フォークソング愛好会が発足されたことが起因。岡林が作詞・作曲した1968年のデビューシングル曲「山谷ブルース」は、日雇い労働者を歌った楽曲。そのB面の「友よ」(作詞:岡林信康・鈴木孝雄 作曲:岡林信康)はプロテスト・フォークソングとして、学生運動や、政治集会、1969年に新宿駅西口地下広場で数百人が参加した反戦フォーク・ゲリラ集会でも合唱された。

カリスマ的存在となった岡林は、“フォークの神様”と称されたが、コンサートで「自身の呻きを表現」しただけだと語っている。人気絶頂期に度々姿を消し、時に農耕生活も送った。その後はフォークを避けて、細野晴臣、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂という錚々たるメンバーによる伝説的バンド・はっぴいえんどをバックにロックを歌う。他に、美空ひばりに楽曲を提供するなど演歌も制作。様々な音楽に触れながら、遂に日本独自の民謡リズムに乗せた音楽“エンヤトット”を確立する。

エンヤトットを和楽器のみで編成して1998年に発売したアルバムが『風詩』。「ええじゃないか!」は、その収録曲である。「♪オナゴはチャカポン えらいよチャカポン」、「♪オトコはウグイス ええじゃないか!」、「♪オナゴは梅の木 えらいやっちゃ!」ーー祭囃子の曲調に、独特の言い回しで女性を讃えた楽曲になっている。2018年は、岡林信康の歌手デビュー50周年。全国7都市9公演のコンサートツアーを9月から開催する。

解説・イラスト:はらめがね