カルト歌謡カルタ【せ】山本まさゆき&ゆうきまさみと仲間たち「正調・究極音頭」

カルト歌謡カルタ【せ】山本まさゆき&ゆうきまさみと仲間たち「正調・究極音頭」

いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「正調・究極音頭」

1987年発表
歌:山本まさゆき&ゆうきまさみと仲間たち
作詞:とり・みき
作曲:山本正之
編曲:田中公平

漫画家・ゆうきまさみの初の週刊連載作品『究極超人あ~る』のイメージアルバム『究極超人あ~る Vol.2』収録曲。歌唱・作曲を担当している山本正之のアルバム『THE ポコポッコン』(2000年発売)にも収録されている。

『究極超人あ~る』は、『週刊少年サンデー』(小学館)で1985年から1987年まで連載されたSF学園コメディー漫画。「正調・究極音頭」の歌詞には、「♪あの日校舎の片隅で おひつ抱えてうなってた」、「♪あの日歩いた砂浜にゃ 二の字二の字の下駄のあと」などと、主人公のR・田中一郎を思わせる表現がふんだんに散りばめられている。

イメージアルバム制作のきっかけを、ゆうきは、「僕が山本正之さんに留守番電話の音楽を作ってもらいたいと言ったら、とまとさんが、ツテがあるからどうせならイメージアルバムを作っちゃおうか!と。そんな話が通っちゃうところがバブルの時代だったなと思いますね」と、『究極超人あ~る完全版BOX2』別冊付録『春校光画部部誌』のインタビューで語っている。“とまとさん”は、小説家・脚本家・音楽ディレクターなど多種に渡り活躍する、とまとあきである。ゆうきと親交が深く、『究極超人あ~る』に登場する光画部OB・たわば先輩のモデルになった人物。「正調・究極音頭」歌唱の“ゆうきまさみと仲間たち”は、とまとあきのほか、アニメ業界のレジェンド脚本家・伊藤和典(漫画の中に“文芸部の伊東くん”として度々登場)、伊藤の妻でイラストレーターの高田明美、声優の川村万梨阿、漫画家のあろひろしなど、錚々たる顔ぶれ。作詞が漫画家のとり・みき、というのも貴重だ。多くのアニメ楽曲の作曲・編曲を担当した田中公平が編曲を手掛け、音頭としても見事な完成度の高さ。

2018年8月、31年ぶりに『究極超人あ~る』の新巻10巻が刊行されたのは、平成最後の夏に起きた奇跡の一つである。

解説・イラスト:はらめがね