カルト歌謡カルタ【す】海道はじめ「スナッキーで踊ろう」

カルト歌謡カルタ【す】海道はじめ「スナッキーで踊ろう」

いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「スナッキーで踊ろう」

1968年発表
歌:海道はじめ
作詞:三浦康照
作曲:船村徹

海道はじめ、24歳でのデビューシングル曲。プリマハム「若者の味スナッキー」との日本初の商品タイアップソングである。

「♪オオオオォ-オオオオ スナッキー」、一度聴いたら耳から離れないエコーの効いた衝撃的なフレーズは、海道が編み出した「口の中を空けて、舌を動かして、音をこもらせる」歌唱法で表現しているという。海道の師匠であり、この曲を作曲した船村徹は、「奈落の果て」、「鍾乳洞の奥からの断末魔」と、NHK情報番組『ナイトジャーナル』(1993年~1994年放送)のインタビューで語っている。「♪燃えろ 若さだ 飛び上がれ」と、プリマハム『スナッキー』もターゲットにしている若者を意識した歌詞に、「♪背中合わせて踊ろうよ~」と繰り返される奇妙ながらもダンスフルな曲調。レコードには、ケメ子・小山ルミ、ミミ・吉沢京子、ハニー・羽太幸得子の3人娘・スナッキーガールズによるダンス説明書が付いている。三味線のように聴こえる音は、実はエレキギターで、「義太夫っぽい音を出そうと、バンドの方がとても悩んでいたのを覚えています」と、音楽雑誌『レコード・コレクターズ 2017年7月号』のインタビューで、海道は振り返っている。

特殊漫画家・根本敬、音楽評論家・湯浅学、デザイナー・船橋英雄の“幻の名盤解放同盟”が監修したオムニバス・アルバム『幻の名盤解放歌集 Columbia編 スナッキーで踊ろう』が1993年に発売され、再び世に出る。ラジオ番組の小堺一機・関根勤の『コサキンDEワァオ!』(TBS)、『赤坂泰彦のミリオンナイツ』(TOKYO FM)で紹介されるなど、カルト歌謡ファンにとっては超メジャー曲なのである。

民謡歌手・坂越達明として芸能生活をスタートさせた海道はじめは現在、東京の中野ブロードウェイに出店した自然薯専門の飲食店『丸子亭』を娘に任せて、故郷の静岡県清水市に在住。民謡教室を行いながら、ライブやイベント参加など活動を続けている。

解説・イラスト:はらめがね