【インタビュー】観光大使がご案内!ご当地ソング・旅ガイド第1回「水森かおり」

水森かおり

地元の方々の応援に涙が出る「ご当地ソングを通して知ったことは一生の財産」

ーー歌碑は、「釧路湿原」(釧路市)、「輪島朝市」(石川県)、大和路の恋(奈良県)の3曲が建てられているのですね。

はい。釧路が最初です。それは、美川憲一さんが「釧路の夜」(1968年)という歌を歌われていて、その歌碑が幣前橋の横に建っているんですよ。釧路に行った時に実物を見て、やっぱり歌の力ってすごいなあって感動しました。その後、美川さんにお会いして、「あのモニュメントすごいですね」って言ったら、「釧路は土地がいっぱいあるんだから、あんたも建ててもらいなさいよ」って言われて(笑)。それで、また釧路に行った時に市長さんにお会いして、「美川さんに実はそうやって言われたんですよ」って冗談で言ったら、「紅白に『釧路湿原』で出場して歌っていただけたら考えてもいいですよ」って言われたんです。それで、その年も釧路の皆さんも鳥取に負けじと盛り上げてくださいました。ラッピングバスを走らせてくださったり、すごく応援してくださって、お陰様で紅白出場を果たしました。出演時も、寒い中、皆で蟹汁を振舞いながら皆で集まって観てくださったんです。そして翌年に、市長さんが「約束を果たしましょう」と言ってくださって、とても立派な歌碑を建てていただき除幕式にも参加しました。この間、久しぶりに釧路に行ったら、皆「おかえりー!」って言ってくださって。ああ、嬉しいなと思います。

ーーまるで、ふるさとのようですね。

そうですね、本当に。輪島もそうだし。歌碑も、お願いしているわけではないのに、皆さんが自主的にやっていただけるというのがうれしいですね。涙が出ます。ありがたいです。

水森かおり

ーー大使や駅長など、色々な役職を20ヵ所以上、務めていらっしゃるのですね。

はい。大使としての肩書は、21個ですね。新曲のタイプAのカップリングが「宗谷本線 比布駅」なんですが、その比布町の応援大使で22個目になる予定です。でも、カップリングで大使の肩書きをいただくことってあんまりないんです。前回、宇和島の歌の時もカップリングで大使をいただいたんですけど……。申し訳ないのですが、その歌用のポスターも映像もないですし。ほぼテレビとかでも歌わないですし。それなのにいただけるのはありがたいことです。歌の舞台で一日駅長、館長みたいなものを入れると相当やっています。アンテナショップなどの一日店長も入れると、30~40位はやっていると思います。あと、「伊勢めぐり」(2013年)の時は、近鉄の新しい特急の「しまかぜ」が来た際に合わせて制服も着て一日駅長をやらせていただきました。そうやって、全国の市長さんや県知事さんに、たぶん私が一番お会いしていると思うんですよ(笑)。今って、知事さん達も同年代なんです。山口県の村岡嗣政知事も45歳で、感覚も若いからお友達みたいになっちゃって。それこそ、「伊勢めぐり」の時の鈴木英敬知事は、私の一個下なんです。もう何回もお会いするので、だんだん「ああ、英ちゃーん」、「おお、かおりー!」みたいになって(笑)。そういう感じなんです。年配の知事さんも、娘みたいに可愛がってくださいます。

ーー大使としては他にどのような活動をされているのですか?

基本は、歌うことで皆さんに「いいところですよ」ってアピールしています。大使としての駅長だったり、館長さんだったり、そういうことをしています。あと、地元のお祭りに参加させていただいて歌ったりもします。だいたい月に一回ぐらいは大使としての仕事があります。今回は、北海道の千歳に行かせていただきました。千歳の皆さんはすごく熱意があるんです。「宗谷本線 比布駅」は、カップリング曲なのにも関わらずとても気にかけてくださって、今までにない経験をしています。お祭りにも参加させていただきましたよ。 

水森かおり

ーーいろんな地方で大使をされていて、何か気づくことはありますか?

同じ県でも、北と南で性格が違うというようなこともあります。だから、うまくバランスを取らないといけません。「庄内平野 風の中」(2011年)だと、例えば、鶴岡と酒田の両方でキャンペーンをやります。青森でも、南部と津軽の両方でやります。同じ県でも、お料理の味付け一つでも違うこともあるんです。あっちは醤油味で、こっちは味噌味というように……。同じ県なのにこんなに文化も言葉も違うんだっていうのはとても勉強になります。そしてその背景を知ることは、歌の世界を超えて自分の財産になってきます。ご当地ソングを通して知ったことは一生の財産です。

ーー素晴らしいですね。事前にその土地のお勉強をされるそうですが、どのようにお勉強をされるのでしょうか?

そんなに深くではないですが、本を読んだりはします。その土地のちょっとした言葉も勉強します。例えば、山形だと「もっけだの」って「ありがとう」っていう意味なんですよ。でも、山形市内だとそれが通じなかったりします。今は、インターネットで色々出てくるから、歌の舞台の歴史は調べますね。例えば北海道だったらアイヌの歴史とかも。勉強というほどではないですが……。あと、地元の方に、「こういう風にネットで出てたんですけど、本当ですか?」って聞いて、そうすると「いや、実をいうとここはもっとこういうことがあったんですよ」と言われて「ええー!」みたいなることはありますね。地元の方とお話をして「ああ、こういうお国訛りがあるんだな」とか知ることも勉強になります。

ーー研究者がフィールドワークをしているかのようですね。水森さんが本を書かれると良いと思います。

それは言われたことがあります(笑)

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