仲村 瞳の「スターの証明」第4回:石原裕次郎

仲村 瞳の「スターの証明」

歌謡界のスーパースターと称される人物を取り上げ、様々な資料から、その人物の”すごさ”を浮き彫りにする証言集。第4回は、2019年7月17日に三十三回忌を迎えた昭和を代表する国民的スター石原裕次郎。太陽族、タフガイ、ボス、あるいは石原軍団の象徴として、広い世代の心に浮かぶイメージとは?

石原裕次郎

石原裕次郎(イシハラ ユウジロウ)
1934年(昭和9年)12月28日 生まれ、兵庫県神戸市出身。俳優、歌手 。石原プロモーション元代表取締役社長(初代)兼会長。豪快で男気に溢れ、人一倍優しいことでも知られる。日本芸能史におけるキング・オブ・スターである。 1987年7月17日、死去。享年52。

同じ俳優なのに、どうしてこんなに違うんだろうってショックでしたねぇ。日本一高いギャラをとれる俳優になりたいと思ったのは、その頃でした

俳優・高倉健
『withnews』(高倉健さん「俳優をやめようと思うたび、いい監督や作品に出会った」/2014年11月18日)より

当時最先端をいってたジャズメンや太陽族の中でも一番カッコいい部分をしょって立って登場したのが、裕次郎さんだったんですよ

音楽評論家・湯川れい子
『文藝春秋8月緊急増刊 さよなら石原裕次郎』(「時代と握手した男・裕次郎とプレスリー」湯川れい子/昭和62年8月20日発行)より

俺は石原裕次郎の用心棒みたいなことをしていたんですよ。だからわかるんだけど、石原裕次郎ってね、あなたみたいに努力して強くなった人でも何でもなくてね、生まれながらのスターなんですよ

作家・百瀬博教
『浅草キッドのKid Return』(浅草キッド推奨対談/百瀬博教 ON STAGE!! お客様 前田日明さん『格闘パンチ』vol.2)より

夏は裕さんたち太陽の子の季節です

石原プロモーション代表取締役会長・石原まき子
『告白の記 逢いたい 夫・石原裕次郎と生きて…』(主婦と生活社/著・石原まき子)より

僕が、石原裕次郎さんが歌が上手だという根拠は、三つあった。一つは、裕ちゃんの歌は一番聞くと『誰もがみんな歌いたがる』ということだ。そして、二つ目が歌詞のひと言ひと言に表情があって、裕次郎さんでなければ歌えないこと。さらに、三つ目は、あの独特の中低音の声質である

作曲家・平尾昌晃
『昭和歌謡1945〜1989 歌謡曲黄金期のラブソングと日本人』(廣済堂新書/著・平尾昌晃)より

裕ちゃんの偉いところは、人気がいくら出て来ても、あの、初めてスタジオに姿を現した日と全然印象が変らないつうことだね。今でも時々、私共の守衛所にぶらりとやって来ては、いろいろと雑談するんです

元「日活撮影所」守衛・鈴木常吉
『石原裕次郎物語』(近代映画社/著・鈴木義昭)より

僕がまだ若いときに(石原裕次郎さんから)「正輝ちょっと来い」とよく声をかけられてたんだけど、僕を連れていく理由はお金の支払い(笑)。あの人、何も持たないから。財布もお金も、何も持たない。ハワイのスーパーでは、会計前のガムを開けて食べちゃって、「大丈夫だよ、食べたって言えばいいんだから」って言うんだけど、まずいでしょ(笑)。でもそういう人

俳優・神田正輝
『女性自身』(石原裕次郎超人伝説「宇宙人のような目を持つ気遣いの人」/2016年8月14日)より

裕次郎さんが人を叱ったり怒ったりするところを一度でも見たことがありません。いつも朗らかで明るく笑っていました

元石原プロモーション常務取締役・仲川幸夫
『NEWSポストセブン』(「最後のマネジャー」が語る石原裕次郎と石原プロ/2017.04.18)より

もし、石原裕次郎が積極的に歌手活動をして、賞レースにも参加していたら、歌謡曲の歴史も変わっていただろう

編集者、評論家・中川右介
『現代ビジネス』(昭和の大スター石原裕次郎が抱えていた、誰も知らない「宿命」とは
映画とテレビのあいだで/2019年7月14日)
より

見ろよ、俺は粗チンで、立派なのは裕サマだ。だけど裕サマには子供はいない。モノの大小じゃないんだ

俳優・勝新太郎
『Asagei plus』(日本を創った“荒ぶる男”たち<芸能界編>「石原裕次郎・勝新太郎・萬屋錦之助」/2015.8.22)より

日本全国の皆さまが温かく出迎えてくれて、大掛かりなロケに協力してくださる…石原プロには、当時どこにもなかったメジャーな匂いがあって、石原(裕次郎)の持っている明るさや力強さがそうさせるのかなと感じました

俳優・舘ひろし
『MY J :COM 』(スペシャルフォト・インタビュー 舘ひろし/2015.9.30)より

裕次郎の映画を見た人は、入館する時は”田舎者”だが、映画を見た後は急に何だか”都会人”の気分になったりしてね…。そんなものでしたよ

元『テイチク』担当ディレクター・中島賢治
『東京歌物語』(東京新聞編集局・編著)より

大きかったのは70年にエベレストのサウスコル8,000メートルから滑ったことですね。この映像を石原裕次郎さんが『エベレスト大滑降』というドキュメンタリー映画にしてくれた。日本ではあまりウケなかったのですが、後年、『THE MAN WHO SKIED DOWN EVEREST』というタイトルでリメイクされて、75年にアカデミー賞の長編記録映画部門でオスカーを受賞したんです。それがあって、世界中のいろんな人に声をかけやすくなりました

冒険家・三浦雄一郎
『みらいを拓く 大人の投資倶楽部』(大人対談 特別対談第6回 世界一の冒険家に学ぶ、夢をかなえるチカラ 三浦雄一郎×南美希子)より

裕ちゃんは日活の1年後輩。日活から石原プロに6年間お世話になりました、仕事でもプライベートでも多くの面で支えになってくれました

女優・浅丘ルリ子
『女性自身』(裕次郎、渡哲也…浅丘ルリ子が語る昭和大スターとの交遊録/2015年5月5日)より

裕ちゃんは歌はうまくないが、おいしい歌を歌える歌手です

作詞作曲家・浜口庫之助
『日本の歌手 100列伝』(北辰堂出版/著・塩澤実信)より

「おう直美、こないだのお土産のお返し」と言って、何かをポーンと渡してくれました。包み紙も何もないんですが、よく見るとグッチのバッグ。それも普通のグッチのマークじゃなくてエラい派手なやつ。何をやってもカッコいい人でした

女優・長谷直美
『goo』(テレ朝POST/石原裕次郎のキャンピングカーが見えると現場が一変!長谷直美が語る『太陽にほえろ!』秘話/2018.9.7)より

アルバム『石原裕次郎 ベストヒット20~フィナーレ~』

石原裕次郎 ベストヒット20~フィナーレ~
2019年7月17日発売
TECE-3534 / 4,630円+税
※全身写真をプリントした大迫力の特製布ポスター付
※完全生産限定
[ 収録楽曲 ]
01. 銀座の恋の物語
02. 二人の世界
03. 赤いハンカチ
04. 夜霧よ今夜も有難う
05. 俺は待ってるぜ
06. 錆びたナイフ
07. 俺はお前に弱いんだ
08. 夜霧の慕情
09. ブランデーグラス
10. 夕陽の丘
11. 北の旅人
12. わが人生に悔いなし
13. 狂った果実
14. 嵐を呼ぶ男
15. 別れの夜明け
16. 恋の町札幌
17. サヨナラ横浜
18. おれの小樽
19. 港町 涙町 別れ町
20. みんな誰かを愛してる

アルバム『石原裕次郎・渡 哲也プライベート』

石原裕次郎・渡 哲也プライベート
2019年7月17日発売
2枚組 / TECE-3535 / 3,500円+税
※全音源初商品化
[ 収録楽曲 ]
■Disc-1[石原裕次郎プライベート音源]
・1982年・山中湖別荘
01. 旅姿三人男(1、2番:石原 / 3番なし)
02. 俺は待ってるぜ(石原裕次郎・渡 哲也)(1番:渡 / 2番:石原)
03. 昭和たずねびと (石原裕次郎・渡 哲也)(1、2番:石原 / 3番なく4番:渡)
04. 男の純情 (石原裕次郎・渡 哲也)(1番:渡 / 2、3番:石原)
05. 長崎は今日も雨だった
06. 爪
07. 女心の唄
08. 裏町人生
09. 喝采
・1983年・山中湖別荘
10. 岸壁の母 (石原裕次郎・渡 哲也)(1番:石原 / 2番:渡 / 3番:2人(台詞なし))
11. 小樽のひとよ
12. 港町ブルース
13. ラブユー東京(1、2番:石原 / 3番なし)
14. くちなしの花 (石原裕次郎・渡 哲也)(2番:石原 / 3番:渡)
15.星の流れに (石原裕次郎・渡 哲也)(2番:渡 / 3番:石原)
・1960年・日活国際ホテル
16. 想い出(披露宴 / MCあり ※MONO)

■Disc-2[渡 哲也プライベート音源]
・1998年・カラオケスナック
01. 大きな古時計
02. 青葉城恋唄
03. 贈る言葉
04. 岸壁の母(1番後の台詞なし / 2、3番後の台詞あり)
05. 星の流れに
06. 哀愁の街に霧が降る
07. 酒よ
08. 座頭市
09. 恋唄綴り
10. 狂った果実
11. まわり道
12. 酔歌
13. 北へ
14. さすらい
15. 長崎の鐘
16. 倖せはここに

関連リンク

◆石原裕次郎 オフィシャルサイト
◆石原裕次郎 レーベルサイト


仲村 瞳(なかむらひとみ)
仲村瞳(なかむらひとみ)
編集者・ライター。2003年、『週刊SPA!』(扶桑社)でライターデビュー後、『TOKYO1週間』(講談社)、『Hot-Dog PRESS』(講談社)などの情報誌で雑誌制作に従事する。2009年、『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)の制作をきっかけに中野ブロードウェイ研究家として活動を開始。ゾンビ漫画『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ~童貞SOS~』(著・すぎむらしんいち/講談社)の単行本巻末記事を担当。2012年から絵馬研究本『えまにあん』(自主制作)を発行し、絵馬研究家としても活動を続ける。2014年にライフワークでもある昭和歌謡研究をテーマとした『昭和歌謡文化継承委員会』を発足し会長として活動中。
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