仲村 瞳の「スターの証明」第6回:船村徹

仲村 瞳の「スターの証明」

歌謡界のスーパースターと称される人物を取り上げ、様々な資料から、その人物の”すごさ”を浮き彫りにする証言集。今回は、北島三郎をはじめ、多くの大スターを世に送り出した、昭和を代表する大作曲家・船村徹をフィーチャーする。

船村徹

船村徹(フナムラ トオル)
1932年6月12日生まれ、栃木県塩谷郡塩谷町出身。作曲家、歌手。日本作曲家協会最高顧問。日本音楽著作権協会(JASRAC)名誉会長。村田英雄の「王将」、美空ひばりの「みだれ髪」など、手掛けた曲は5000曲以上。2017年2月16日、死去。享年84。

船村先生は歌心、人の心を教えてくれた心の師。その教えは人生の苦難にでくわした時にも励ましになりました

歌手・島倉千代子
『船村徹の世界 演歌に青春譜を刻んだ男』(編集・発行 下野新聞社/1997年6月11日発行)より

船村先生は、ビートルズが誕生したオーディションに立ち合っているんですよ。アニメ音楽からビートルズの発掘まで、本当に幅広いですよね

ミュージシャン・大瀧詠一
『作家で聴く音楽 JASRAC会員作家インタビュー』(Interview vol.17 特別企画/大瀧詠一VS船村徹/2005年8月公開)より

私もいつか旅立ちますが、もし生まれ変わっても、また出会って。やっぱり船村徹の弟子でありたい。ありがとうございました

歌手・北島三郎
『デイリー』(船村徹さん通夜 北島三郎「生まれ変わっても弟子でいたい」/2017.2.23)より

先生が亡くなられた朝、書斎を初めて見させていただきましたが、本棚を見て、目が覚めるほど驚きました。ありとあらゆる歌、歌人、詩人の本が並んでいたのです。作詩家でもこれほどの本を読んだ人がいたか。船村メロディはこれほど、言葉の意味、情感を汲み取るから、何とも哀愁に満ちた、心に突き刺さるメロディが生まれたのだと思いました

作詩家・喜多條忠
『全日本歌謡情報センター』(<船村徹 一周忌法要>北島三郎、鳥羽一郎、大月みやこ、松原のぶえ、伍代夏子、島津亜矢、走裕介らが、偉大な作曲家を偲ぶ/2018.2.17)より

道楽しなければふる里に信用金庫ぐらいつくれたのに

船村徹の妻・福田佳子
『船村徹の世界 演歌に青春譜を刻んだ男』(編集・発行 下野新聞社/1997年6月11日発行)より

15年ほど前、ラジオ収録の時に、先生から電話がかかってきたことがあります。「海道、おまえには、不本意なデビュー曲を与えて本当に申しわけないと思っているよ。あんな歌を歌わせてしまって」と言われてね(笑)でもこの曲、僕はどんどん好きになっていますよ

歌手・海道はじめ
『レコード・コレクターズ』(海道はじめインタヴュー<スナッキーで踊ろう>はすごく面白い運命を持った曲ですよ/2017.7)より

演歌、日本の歌謡曲というと、伝統音楽とそのままつながっているような錯覚をもっていたんですが、実はそうではない。近代以降の音楽をいろんな形で取り入れている。それで、先生は成功されたんじゃないかと思いますね

宗教学者・山折哲雄
『山折哲雄こころ塾Ⅱ』(読売新聞大阪本社 編/2008年10月30日発行)より

ムッシュ・フナムラから、日本人が歌っている歌だが君が歌ってもおかしくないよと言われて曲を聴いてみました。いい音楽でした。民族音楽に聴こえなかった。押しつけられて歌ったのでもなく、レパートリーに加えたいまも日本の演歌を歌っているつもりはまったくありません

フランスのシャンソン歌手 ジョルジュ・ムスタキ
『DIAMOND online』(佐高 信の「一人一話」/文化勲章を受ける作曲家、船村徹の異色の弟子/2016.11.7)より

先生の歌は、人生の敗者の背中を頑張れよ、と押してくれた。決して時代に流されない頑固一徹な歌作りを貫いた先生でした。新しい時代になっても、船村メロディは永遠に不滅だと思います

作曲家・弦哲也
『全日本歌謡情報センター』(<船村徹 一周忌法要>北島三郎、鳥羽一郎、大月みやこ、松原のぶえ、伍代夏子、島津亜矢、走裕介らが、偉大な作曲家を偲ぶ/2018.2.17)より

作曲に悩んだ時、あの時の船村先生の「君には才能がある」という言葉を思い起こします。先生の音楽に対する純粋さ、意固地なまでに自分の世界を表現する姿に勇気づけられるんです

作曲家・三木たかし
『船村徹の世界 演歌に青春譜を刻んだ男』(編集・発行 下野新聞社/1997年6月11日発行)より

おれは、茨城弁で作詞する。お前は栃木弁でそれを曲にしろ

作詞家・高野公男
『私の履歴書 歌は心でうたうもの」(船村徹・著/日本経済新聞/2002.9.1)より

一生懸命だと、いい人に会えるもんだ。その中でもこの人には、演歌の赤い糸とでもいった運命を強く感じましたね

作詞家・星野哲郎
『船村徹の世界 演歌に青春譜を刻んだ男』(編集・発行 下野新聞社/1997年6月11日発行)より

船村徹先生と星野哲郎先生に歌を作っていただくのが小さい頃からの夢だったので、最初に船村先生のレッスンを受けた時は涙で歌えませんでした。ある時レッスンに伺ったらお弟子さんがご飯を作ってくださって、先生と一緒の食卓で、ちらし寿司をいただいたのが想い出に残っています

歌手・島津亜矢
『全日本歌謡情報センター』(<船村徹 一周忌法要>北島三郎、鳥羽一郎、大月みやこ、松原のぶえ、伍代夏子、島津亜矢、走裕介らが、偉大な作曲家を偲ぶ/2018.2.17)より

アルバム『ザ・ベスト 船村徹 特選・男のギター 〜別れの一本杉〜』

ザ・ベスト 船村徹 特選・男のギター 〜別れの一本杉〜
コロムビア創立110周年記念
2019年11月27日発売
COCN-60060 / 1,800円+税
[ 収録楽曲 ]
1. 別れの一本杉
2. 柿の木坂の家
3. あの娘が泣いてる波止場
4. ご機嫌さんよ達者かね
5. 男の友情
6. 早く帰ってコ
7. ひばりの佐渡情話
8. 東京だョおっ母さん
9. 哀愁波止場
10. おんなの宿
11. 波止場だよ、お父つぁん
12. 宗谷岬
13. ふるさと列車
14. さだめ川
15. 新宿情話
16. ギター仁義
17. 東京流れもの
18. なみだ船
19. 王将
20. 花と竜

関連リンク

◆船村徹 オフィシャルサイト


仲村 瞳(なかむらひとみ)
仲村瞳(なかむらひとみ)
編集者・ライター。2003年、『週刊SPA!』(扶桑社)でライターデビュー後、『TOKYO1週間』(講談社)、『Hot-Dog PRESS』(講談社)などの情報誌で雑誌制作に従事する。2009年、『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)の制作をきっかけに中野ブロードウェイ研究家として活動を開始。ゾンビ漫画『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ~童貞SOS~』(著・すぎむらしんいち/講談社)の単行本巻末記事を担当。2012年から絵馬研究本『えまにあん』(自主制作)を発行し、絵馬研究家としても活動を続ける。2014年にライフワークでもある昭和歌謡研究をテーマとした『昭和歌謡文化継承委員会』を発足し会長として活動中。
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