コラム【音は鼓膜を震わせ、音楽は心を震わせる】#1 杉真理のハスキーボイスと脆い50代の青春

コラム【音は鼓膜を震わせ、音楽は心を震わせる】マンモス☆南

エンターテイナーを夢見るしがない50代のマンモス☆南が、レコード、カセットテープ、CD、MD、ネット配信と、音楽メディアは時代と共に変われど、歌が人の心を動かすことに変わりはない、という想いについて語ります。

杉真理のハスキーボイスと脆い50代の青春

「いつもうまくゆかない」

1985年にリリースされた杉真理のアルバム『SYMPHONY #10』に収録され、のちにシングルカットされた「Key Station」という曲の一節。

当時は珍しかったPVがあって、今や動画再生サイトでも見られるが、冴えなくて失敗ばかりしてる主人公(杉真理御本人演じる)が、ラジオを聴いて元気付けられる、という感じのストーリー。

歌詞にも、ユーミンや浜田省吾、佐野元春などの実名が登場し、いろんなアーティストが応援してくれるよ、と若干ファンタジックなことを言って下さる。

その曲に触れてからもう35年も経つのかと思いつつ、50代にもなって今だにいろんなことがうまくいかないときに僕の脳内で再生される。

当時高校3年生だった僕は、ただシンガーソングライターになることに憧れ、ただ具体的にその夢を叶える方法も考えず、とりあえず大学受験したらと親に言われて、そうしてみるかなと思い始めていた。

もちろん勉強はできなかったので模試を受けても結果は良くないし、そもそもどこの大学に行って何したいとか、大学卒業したらこうなりたいとかも決めてなくて、それでも何かに向かって努力するわけでももがくわけでもなく、でも悩みなく暮らしていたわけでもなく、という日々だった気がする。

当時はパーソナルメディアが確かにラジオが主流で、勉強しながらラジオを聴いていたのか、ラジオを聴きながら勉強していたのか、みたいな時代。それだけにラジオやレコード(まだCDは普及しきってなかった)の音楽は、元気の源だったに違いない。

そして、いろんな「うまくゆかない」ことを経験しつつ、大きな夢を諦めたり、新たな夢を探したり、小さな夢を見たり叶えたりしながら、50代を迎え、生きている。歳を重ねれば何でもうまくいくとは、昔も今も思ったことはないが、歳相応の悩みはあるし、それ相応の解決の仕方、立ち直り方がある。

振り返れば、「人生最大のピンチ」と感じて切羽詰まったことが幾度となくあった気がする。でも、振り返れるほど何度もあったとするならば、それはどれも最大ではなかったようにも思えるし、これからもっと酷いことが待っているのか、全てを乗り越えたのかはわからない。

うまくいかないことがあるたびに聴く杉真理のハスキーボイスは、とても切なさを呼び起こしもするし、いつになっても宿命のように抱えざるを得ない人間の脆さを実感させてくれる。

そして僕はまだまだ夢を見続ける若造だ。


マンモス☆南
マンモス☆南
プロデューサー/フォトグラフィック・オーガナイザー
1967年9月12日 神奈川県出身
広告代理店、映画制作・宣伝などの業務を経験した後、イベント企画・運営会社「合同会社グラスタ」を設立。女性アイドルの撮影会やネット番組、フットサルチームのプロデュースなどを行う傍ら、カメラマンとして写真集やブロマイドの撮影にも取り組む。

好きなミュージシャンは、小田和正、Mr.Children、大瀧詠一、杉真理、織田哲郎など。
◆グラビアアイドル・モデル撮影会 グラ☆スタ!

【グラ☆スタ!今月の推しメン】
天野麻菜
天野麻菜(あまのまな)
1991年10月14日生。大阪府出身。女優、モデル、タレント、ボクシングのラウンドガールなど様々なジャンルで活躍中。ビールが大好き過ぎて、毎日ビールを飲む動画「ビール女子。」をインスタグラムで2,200日以上継続中です。人懐っこい笑顔と元気なトーク、そしてスタイル抜群でフォトジェニックな姿が魅力です。
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