作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。
『Rooftop』(INTERVIEW/令和元年、戸川純の芸能活動40周年を記念して13年ぶりに復活!/2019.12.01)より
戸川純の芸能人生は、時代の流れと奇妙にシンクロしている。芸名活動10周年は、昭和の終わり。20周年は、20世紀の終わり。40周年にあたる2019年は、平成の終わりで令和の始まり。2019年12月11日、戸川純率いるヤプーズは、20年ぶりにアルバム『ヤプーズの不審な行動 令和元年』をリリース。その音源は、同年8月17日、渋谷クラブクアトロで行われたライブをレコーディングしたものが中心である。インタビューの中で戸川は、「ヤプーズとしては2006年以来、13年ぶりのライブだった」と語りつつ、ヤプーズで歌うことへの熱い想いを明かす。腰の怪我をして、ライブには2年のブランクが空いていたという戸川。「唄うことが大好きだし、一生唄い続けていきたい。訓練は本当にきついですが」、「今回のアルバムもピッチを機械で直すとかは一切してません」「全部原曲のキーで唄いたい」……、今回の名言には、戸川の決意と様々な想いが詰まっている。彼女がもう一つ諦めていないという、女優の本格復帰も待ち遠しい。
戸川純 (とがわじゅん)
1961年3月31日生まれ、東京都新宿区出身。歌手、ヤプーズのボーカル、女優、作家、作詞家。小学五年生のとき、新国劇『王将』にて辰巳柳太郎の娘役を演じる。1982年、テレビ番組『刑事ヨロシク』にて警察署のお茶汲み役の西ツヤを好演。同年、渋谷の伝説的ロックカフェ『NYLON100%』で「蘇州夜曲」を歌っていたところ、作曲家の上野耕路に見初められ、テクノユニット・ゲルニカのボーカリストとなる。1982年6月、細野晴臣によるプロデュースでアルバムデビュー。YAMAHAエレクトーンやTOTOの『ウォシュレット』のCM出演が話題となり、お茶の間の人気者となる。1983年5月、ニューウェーブバンド・ヤプーズのボーカルとしてライブデビュー。1984年1月、アルバム『玉姫様』によりソロデビュー。この頃から、『11PM』、『森田一義アワー 笑っていいとも!』、『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』など、バラエティ番組をはじめ多くのテレビ番組に出演する。『ウンタマギルー』、『男はつらいよ』、『釣りバカ日誌』など、名作映画にも多数出演し、女優としての活動も活発になる。2012年、映画『ヘルタースケルター』において「蛹化の女」が挿入歌として使用される。同年、アルバム『蛹化の女〜蜷川実花セレクション』をリリース。2017年、DOMMUNEにおいて戸川純の芸能生活35周年特別番組『疾風怒濤きょうは晴れ』が生配信される。メディアに登場しなくなってから22年ぶりの番組出演となった。2020年春、戸川純 芸能活動40周年記念盤「ヤプーズの不審な行動 令和元年」のアナログ盤がリリースされる予定。