【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#192 シンガーソングライター・伊勢正三の言葉

仲村瞳の歌謡界偉人名言集

作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。


物事すべて欲求があるうちが花ですよ。欲求があるからこそ行きづまりもあるのであって、なくなったらもう論外

『風 風をたずさえて』(八曜社/昭和52年5月30日発行)より

元・かぐや姫の伊勢正三と、元・猫の大久保一久による伝説的フォークデュオ・風。この本の綿密なインタビューでは、少年時代から風の時代までの、彼らの音楽感やライフスタイルなどが引き出されている。今回の名言は、伊勢正三の言葉からの抜粋。インタビュアーの、“音楽的に行きづまったりしないか”という質問に対しての答えである。この言葉は、行きづまることより問題なのは、“欲求をなくすこと”だと伝えている。つまり、行きづまったとしても、欲求がある限り道が開けるということでもある。伊勢は、今もなお欲求を持ち続けているのだろう。この本では、巻頭に写真集、巻末には、「 22才の別れ 」「ほおづえをつく女」「お前だけが」「あの唄はもう唄わないのですか」「ささやかなこの人生」など、風の初期楽曲の楽譜まで付き、ファンにはたまらない一冊である。


伊勢正三(いせしょうぞう)
1951年11月13日生まれ、大分県津久見市出身。シンガーソングライター、作詞家、作曲家。高校時代、同じ学校の先輩だった南こうせつの誘いを受けコーラス部内でバンドを結成する。1971年 、山田パンダらと共に『南こうせつとかぐや姫』(第2期かぐや姫)を結成し、 シングル「青春」でデビューを果たす。1974年、伊勢正三が作詞作曲したかぐや姫の楽曲「なごり雪」をイルカがカバーし大ヒット。1975年、元フォークグループ・猫の大久保一久とフォークデュオ・風を結成。1978年、かぐや姫の再結成コンサートに参加。1979年、風が活動休止。1980年、シングル「想い出がつきない夜」でソロデビュー。1990年、『第10回サマーピクニック』で大久保一久と共演。1995年、池田聡と期間限定ユニットISを結成。1999年、山本潤子とのコラボレーションや、かぐや姫の再々結成で活動。2004年からは、太田裕美、元ガロの大野真澄による3人のユニット・なごみーずとして全国を回りアコースティックナイト』を開催。2013年、南こうせつと新しいユニット・ひめ風を結成し、全国ツアーを開始。2021年5月16日、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて『伊勢正三LIVE 2021』が開催される。



仲村 瞳(なかむらひとみ)
仲村瞳(なかむらひとみ)
編集者・ライター。2003年、『週刊SPA!』(扶桑社)でライターデビュー後、『TOKYO1週間』(講談社)、『Hot-Dog PRESS』(講談社)などの情報誌で雑誌制作に従事する。2009年、『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)の制作をきっかけに中野ブロードウェイ研究家として活動を開始。ゾンビ漫画『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ~童貞SOS~』(著・すぎむらしんいち/講談社)の単行本巻末記事を担当。2012年から絵馬研究本『えまにあん』(自主制作)を発行し、絵馬研究家としても活動を続ける。2014年にライフワークでもある昭和歌謡研究をテーマとした『昭和歌謡文化継承委員会』を発足し会長として活動中。
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