作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。
『ラブ・ゼネレーション』(著・早川義夫/文遊社/2011年12月30日発行)より
1972年に出版された早川義夫の幻のエッセイ集『ラブ・ゼネレーション』(自由国民社)が、2011年に復刊を果たした。今回の名言は、復刊版の“増補版あとがき”からの抜粋である。早川は、文遊社の編集者から“復刊したい理由”を説明されて「はっとした」という。それは、初版『ラブ・ゼネレーション』の扉に書かれた、“連帯感ではなく同体感を”という言葉が鍵となっているようだ。“同体感”という言葉はなく、早川が作った造語のようである。1972年頃を振り返り、早川は「みんなで合唱すること、みんなが同じ思想を持って行動を起こすことに、当時から僕は肌寒さを感じていた」と書き、今回の名言へとつながる。それから、さらに10年が経ち、混迷を極めた現代へのメッセージのようにも感じられる言葉である。
早川義夫(はやかわよしお)
1947年12月15日生まれ、東京都千代田区出身。サイケデリックロックバンド・ジャックスのフロントマン、シンガーソングライター、作家。1965年、高校の同級生と3ピースバンドのナイチンゲイルを結成。1966年、バンド名をジャックスと改めライブ活動を始める。1968年、シングル「からっぽの世界」で、ジャックスのメンバーとしてレコードデビュー。同年、1stアルバム『ジャックスの世界』をリリース。1969年、『第1回全日本フォークジャンボリー』に出演。そのステージを最後にジャックスは解散。同年、2ndアルバム『ジャックスの奇蹟』とソロデビューアルバム『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』をリリースしている。ジャックスは活動中にはヒットしなかったものの、日本におけるサイケデリックロックの礎ともいえる伝説的バンドとして語り継がれている。狂気を孕んだ歌声、アバンギャルドで繊細なメロディ、独特な世界観で、現在もなお熱狂的ファンが多い。音楽ディレクターとしても岡林信康や加川良らを担当。その後、音楽業界から離れて、1972年に川崎市内にて『早川書店』を開店。1994年、2ndアルバム『この世で一番キレイなもの』で23年ぶりにミュージシャン復帰を果たす。2003年、元四人囃子の佐久間正英(2014年没)とCes Chiensを結成。2018年、鎌倉歐林洞でのライブを最後に、現在は音楽活動を休止している。