【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#218 シンガーソングライター・宇多田ヒカルの言葉

仲村瞳の歌謡界偉人名言集


作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。


初恋とはそれを自覚した瞬間から、それ以前の自分の終わりでもある

『Mikiki』(インタビュー/宇多田ヒカル『初恋』〈諸行無常〉という言葉があるけど、それを理解して受け入れるのはそんなに簡単なことじゃない/2018年6月26日)より

このインタビューは、宇多田ヒカルのデビュー20周年を飾った通算7枚目のアルバム『初恋』について掘り下げている。収録楽曲を通して、彼女の恋愛観が表現された貴重な記事である。インビュアーは、『初恋』を「幾つもの〈始まり〉と〈終わり〉が詰まったアルバム」と表現し、それに対して宇多田が発した言葉のひとつが今回の名言。タイトル曲の『初恋』という楽曲自体、恋の始まりとも終わりともとれるように書いているのだとか。他者との関係の終焉について「〈諸行無常〉という分かり易い仏教の言葉があるけれど、それを理解して受け入れるのは、そんなに簡単なことじゃないよね」と明かし、究極のラブソングを考えた時に「死をもって完結するというところに行き着いて。そこに思いを馳せてみたくなりました」と語るなど、彼女の類稀なる文学的感性が溢れたインタビューである。


宇多田ヒカル(うただひかる)
1983年1月19日生まれ、アメリカ合衆国ニューヨーク出身。シンガーソングライター、音楽プロデューサー、編曲家。1990年、藤圭子(RA U)、宇多田照實(SKING U)と共にH。IKASO名義で家族3人によるユニット・U3を結成。1993年、U3のボーカルとして、アルバム『STAR』でデビュー。当時、宇多田ヒカルは10歳であった。1995年、母親の藤圭子(RA U)に代わりU3のメインボーカルとなる。1998年、宇多田ヒカルとしてシングル「Automatic/time will tell」でソロデビュー。1999年、1stアルバム『First Love』を発売。日本国外も含めると、およそ990万枚を超えるメガヒットとなる。2000年、初の全国ツアー『BOHEMIAN SUMMER 〜宇多田ヒカル Circuit Live 2000〜』を開催。同年、コロンビア大学へ入学。2001年、アメリカのニュースマガジン『TIME』(アメリカ版2001年9月15日特別増刊号)でU2のボノ(Bono)、ビョーク(Björk)らとともに表紙を飾る。2004年、アルバム『エキソドス』(EXODUS)にて全米デビューを果たす。現在に至るまで、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(2016年)やテレビドラマ『美食探偵 明智五郎』(2020年)、アニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021年)をはじめ、多くの楽曲がテーマソングや主題歌に起用されている。2021年7月、新曲「Find Love」が、資生堂の世界ブランド『SHISEIDO』のキャンペーンソングに起用される。2021年10月から放送されるTBS系ドラマ『最愛』の主題歌が決定している。その楽曲は、第一話にて初公開予定。



仲村 瞳(なかむらひとみ)
仲村瞳(なかむらひとみ)
編集者・ライター。2003年、『週刊SPA!』(扶桑社)でライターデビュー後、『TOKYO1週間』(講談社)、『Hot-Dog PRESS』(講談社)などの情報誌で雑誌制作に従事する。2009年、『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)の制作をきっかけに中野ブロードウェイ研究家として活動を開始。ゾンビ漫画『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ~童貞SOS~』(著・すぎむらしんいち/講談社)の単行本巻末記事を担当。2012年から絵馬研究本『えまにあん』(自主制作)を発行し、絵馬研究家としても活動を続ける。2014年にライフワークでもある昭和歌謡研究をテーマとした『昭和歌謡文化継承委員会』を発足し会長として活動中。
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