「二人の銀座」の編曲や「人形の家」の作曲で知られる川口真が死去、享年83


ザ・ベンチャーズが作曲した「二人の銀座」(1963年)や「雨の御堂筋」(1971年)の編曲をはじめ、作曲家としても、弘田三枝子の「人形の家」(1969年)、由紀さおりの「手紙」(1970年)、布施明の「積木の部屋」(1974年)、金井克子の「他人の関係」(1974年)など数々の名曲を生んだ川口真が2021年10月20日、敗血症のため死去した。

1937年11月5日生まれ、兵庫県神戸市出身。作曲家、編曲家。東京芸術大学音楽部在学中より、作曲家・いずみたくのアシスタントや、越路吹雪のバックバンドであるクレール・ド・シャルムのピアニストとして活動を始める。ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』で編曲家としての活動を本格化。

1963年、和泉雅子と山内賢によるデュエット曲「二人の銀座」の編曲を担当する。1969年、「人形の家」で作曲家としてデビューを果たす。同曲は100万枚以上の売り上げを記録。1970年、由紀さおりの「手紙」を大ヒットに導き、同年、西郷輝彦の「真夏のあらし」で『第12回日本レコード大賞』作曲賞を受賞。

他、代表的な作曲作品は、尾崎紀世彦の「さよならをもう一度」(1970年)、小川知子の「別れてよかった」(1972年)、夏木マリの「絹の靴下」(1973年)、内藤やす子の「弟よ」(1975年)、新沼謙治の「嫁に来ないか」(1976年)、岩崎宏美の「熱帯魚」(1977年)、編曲作品では、ザ・テンプターズの「エメラルドの伝説」(1969年)、ザ・ドリフターズの「ドリフのズンドコ節」(1969年)、岸洋子の「希望」(1970年)、渚ゆう子の「京都の恋」(1970年)、山口百恵の「いい日旅立ち」(1978年)、テレサ・テンの「つぐない」(1984年)、「愛人」(1985年)、「時の流れに身をまかせ」(1986年)などがある。

主に1970年代から尾崎紀世彦、アン・ルイス、西城秀樹、ちあきなおみ、由紀さおり、山口百恵、和田アキ子など多くの大スターたちに名曲を提供してきた。歌謡曲以外でも、特撮番組「ウルトラマンタロウ」(1973年)の主題歌、明治「カール」のCMソングと、幅広いジャンルで作品を残した日本を代表する大衆音楽家のひとりである。

晩年は、日本作曲家協会顧問や日本作編曲家協会理事を務め、日本の歌謡界の発展に尽力した。