伊藤君子、美空ひばり”トリビュートアルバム” 発売記念ライブを開催

伊藤君子

世界的ジャズ・シンガー、伊藤君子が5月27日に東京・青山Body & Soulにて敬愛する国民的歌手・美空ひばりに捧げる、美空ひばり トリビュートアルバム『Kimiko sings HIBARI ~伊藤君子、美空ひばりを歌う』発売&デビュー35周年記念ライブを開催した。

今公演の、美空ひばりの名曲を中心に構成された1stステージの模様をレポートする。完全満員のジャズ・クラブに真っ白なドレスに身を包んだ伊藤と、アルバムの演奏メンバーと同一の、宮本貴奈(Pf)、坂井紅介(Ba)、加納樹麻(Dr)が登場。アルバムの曲から美空ひばりが1950年にリリースした「東京キッド」を歌い始めた。ジャズトリオの盤石のサウンドにのせた伊藤のきらびやかな歌声。4歳の時に美空ひばりの歌声に出会い歌手を志したという伊藤の声の奥底に、美空ひばりの遺伝子が垣間見える。「CMでこの曲が流れていて、一発でひばりさんの声だってわかって、素敵だなって思って今回のアルバムに入れました。すごく難しかった」と笑う伊藤が続けて歌ったのは美空ひばり自身がジャズアルバムで圧倒的な歌唱をみせた「魅惑のワルツ(fascination)」。美空ひばりを模倣するのではなく、伊藤自身の歌声とアレンジで自らの歌として昇華する。宮本貴奈のピアノに乗せて元曲の歌謡曲的な歌世界をジャズの世界観に換骨奪胎した「津軽のふるさと」では演奏が終わると客席からため息が漏れた。

伊藤君子

美空ひばりの日本語歌謡曲のジャズアレンジが続く前半、伊藤が「英語の曲よりずっと緊張するんですよね。だって、間違えるとすぐにばれるから」ともらすと客席から笑いが起こる。続けて歌うのは美空ひばりが愛唱したジャズのスタンダードナンバー「慕情」。英語歌唱のこの曲では、さすがデビュー35周年を迎えたジャズ界の至宝だけあり、歌声に堂々たる輝きが増す。

伊藤君子

国民的楽曲、美空ひばりが生涯最後にレコーディングした「川の流れのように」は、有名でありながら実はとても歌うのが難しいゆえ「本当はアルバムに入れたくなかった」とこぼしながらも、歌い始めるとその伊藤流の名曲の新たな解釈に会場の集中力は一気に増した。爽快なトリオの演奏で駆け抜ける「恋人よ我に帰れ(LOVER, COME BACK TO ME)」に続いて演奏された、美空ひばりの隠れた名曲、広島の原爆投下を描いた反戦歌「一本の鉛筆」は、表情を抑制した歌声をもってシンプルに歌うからこそ、歌詞の重みと悲しみがより表出し会場はつかのま静まりかえり、涙を流す人も多くみられた。「ひばりさん、あなたは私にとって永遠に輝く不死鳥です」との言葉とともに、このステージ最後は、伊藤が美空ひばりに捧げたオリジナル曲「スカイラーク」を情熱と敬愛の情を歌に込めて歌い幕を閉じた。

伊藤君子

伊藤君子

[ 1st ステージ セットリスト ]
1. 東京キッド
2. 魅惑のワルツ(fascination)
3. 津軽のふるさと
4. 慕情
5. 川の流れのように
6. 恋人よ我に帰れ(LOVER, COME BACK TO ME)
7. 一本の鉛筆
8. スカイラーク

[ メンバー ]
宮本貴奈(Pf)、坂井紅介(Ba)、加納樹麻(Dr)

伊藤君子

美空ひばり トリビュートアルバム『Kimiko sings HIBARI ~伊藤君子、美空ひばりを歌う』

伊藤君子 / Kimiko Sings HIBARI

2017年5月29日発売
COCB-54204 / 3,000円+税

[ 収録曲 ]
1. 東京キッド
2. 愛燦燦
3. 川の流れのように
4. 津軽のふるさと with 狩野泰一(篠笛)
5. 一本の鉛筆
6. リンゴ追分 with 小曽根真(Pf) *2004 年収録
7. 魅惑のワルツ FASCINATION
8. 慕情 LOVE IS A MANY-SPLENDORED THING
9. 恋人よ我に帰れ with 日野皓正(Tp)LOVER, COME BACK TO ME
10. スターダスト STARDUST

BONUS TRACK
11. スカイラーク SKYLARK

Member
伊藤君子:vocals
宮本貴奈:piano, arrange, produce
坂井紅介:bass
加納樹麻:drums
Guets:日野皓正(Tp) / 狩野泰一(篠笛) / 小曽根真(Pf)

◆伊藤君子 オフィシャルサイト

関連記事
該当無し