朝倉さや、デビュー10周年のニューアルバムを引っ提げたツアーがスタート

朝倉さや


朝倉さやが、6月14日に発表した10周年記念アルバム『大開幕』を引っ提げて全国ツアーをスタート。初日の東京公演が6月18日(日)東京・大手町の日経ホールにて行われた。

昨年の日比谷音楽祭、<フジロック・フェスティバル>の出演などでもその実力が高く評価されてきた民謡出身シンガーソングライター朝倉さや。今年5月発売のスピッツのオリジナルアルバム『ひみつスタジオ』の収録曲「未来未来」にボーカルで参加したことも大きな話題になっている。

同ツアータイトルは<朝倉さや デビュー10周年 第三章の大開幕!〜感謝と決意のスペシャルコンサート〜>。2013年に「東京」でデビューしたのが第一章。そして、民謡と最先端の音楽を融合させたFuture Traxで「日本レコード大賞」企画賞を受賞した2015年が第二章の開幕。

そして、昨年9月に音楽的、精神的支柱になっていたプロデューサーのsolayaが癌で他界。デビュー前から朝倉を育て、民謡の歌い回しをポップスの中に入れること、故郷の山形弁で歌うことなど、自由な発想を重ねて朝倉さやの音楽を作ってきた人物である。単なるプロデューサーという一言で片付けられないほど朝倉にとっては大きな存在だった。その悲しみを乗り越えて新しい世界に飛び出した第三章の開幕が、今回のアルバム『大開幕』そして今回のツアーである。



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コンサートは、自身のデビュー曲「東京」のフレーズをコラージュしたSEで開幕。そして、故郷・山形の民謡「最上川舟唄」をリアレンジした「リバーボートソング」で厳かにスタートした。大地に祈りを捧げるような朝倉の歌声が会場を包んだ。「デビュー10周年イヤーに第三章の嬉しい幕開けです。こっから出発です。本当に嬉しい旅の始まりです。正直、喉も絶好調! 最後までお付き合いください」。

そして、スピッツの「ロビンソン」の山形弁カバー。この曲がスピッツのメンバーの耳に止まり、彼らのアルバムへの参加のオファーに繋がった。続いて、「酒田甚句」「新庄節」などをダンストラックと融合させたFuture Traxで会場を徐々に盛り上げてゆく。その流れで、「花笠音頭」(山形県)、「斎太郎節」(宮城県)などの民謡を三味線の弾き語りで披露した。民謡日本一に2度輝いているその歌唱力は折り紙付きだが、朝倉の歌声は民謡を知らない人たちにも、新しい喜びと笑顔を与えてくれる。

後半戦は、オリジナル曲「アリャセヘイヤ〜」でベースギターを抱えてベースソロを披露する予定が、まさかの機材トラブル。この日のために練習してきたベースを披露するはずが、残念ながら次回に持ち越しとなりそうになったところ、スタッフの神対応でベースが回復。「ハプニングポイントは歴史を刻む きっかけなんです」と新曲の歌詞を引用しながら、晴れてベースプレイを披露した。

そして、昨年solayaと最後に作ったアルバム『Life Song』から、この世界に生きることの素晴らしさと決意と感謝を込めた「ライフソング」を歌った。MCではsolayaとの日々を思い出し、涙を浮かべる場面も。

続いて、「昨年色々あって年末まで頑張りすぎたんですが、年末年始は山形に帰って頑張らずヘラヘラしてきました。そのお陰で、故郷のお陰で、この『KADODE』ができました」と紹介して、最新アルバムのオープニングを飾る軽快なダンスナンバー「KADODE」を披露。《ターニングポイントで 思い切り飛び込むだけ 世界はまだまだ広い》という歌詞にも自身の新しい幕開けに前向きに挑む彼女の意気込みが感じられる。

皆さんがステージの私を見てくださってるように、私もいつも皆さんのことを見ています。いつもすごく優しい笑顔をしている人が、たまに涙流しているのを見ると、何があったんだろうなって心配になったりします。生きていたらいろんなことがありますが、朝倉さやのコンサートでは最後は笑顔で帰って欲しいなって思います。そんなみんなに手紙を書くみたいな気持ちで作った曲です」と紹介し、「違う歩幅で」を歌った。ラストは10年前の自身のデビュー曲「東京」をしっとりと歌い、本編の幕を閉じた。

アンコールでは、自分の故郷や家に帰った時の温もりに溢れた「おかえり -manzumamake-」を披露。そしてニューアルバムのエンディングを飾る「おやすみ-neroha-」をアカペラで披露し、全国ツアーの初日、全18曲のステージの幕を閉じた。


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